6.27.2022

雑談 


なぜスコーンだけを売る店をやっているのか書いてほしいとお客様に言われていました。全く面白い話ではありませんが、私も気になっていたよ、という奇特な方がほかにもいらしたらお読みください。長いのでくれぐれも興味がある方のみお進みを。今回は【スコーン作りのきっかけ『お店に至るずーっと前』編】です。


もともと、実は今でも、スコーンに特別なこだわりがあるわけではないです。(がっかりさせてすいません)食べ歩きしていたわけでもないし試行錯誤したレシピでもありません。(重ね重ね、がっかりさせてすいません)なのでスコーン巡りでスコーンめがけて当店に来ていただいたらしきお客様には後ろめたさと申し訳なさを感じています。とはいえ美味しいと思えるものを提供したいという気持ちは絶対条件、そこは強く言わせていただきます。

今はカフェを営業してませんけどそもそもは、カフェで出す珈琲のお供としてお菓子を焼いてついでに店頭販売もしよう、くらいに思っていたのです。コロナで二階のカフェを閉めている間に店頭販売で焼く数が増えカフェに手が回らないという、思いもよらない状況に陥っています。

特に強い意志があってスコーンだけを作っているわけではありませんが、作りはじめたきっかけは割とはっきりしています。

私の母はパンをよく作ります。出来上がってくる物はとても美味しくひいき目無しでパン屋を上まわる出来栄えです。私は母が作るものに当然食べ慣れていたので『美味しいけどそれが何か?』という舌になっていました。ある時、母がスコーンをたくさん作って送ってきたので友達に何個かあげたところ『すごく美味しい。妹も金を出すからまた食べたいと言っている』と。ちなみにその友達は『初めてのバイト代、自分へのご褒美が高級マンゴー』という、私の中では伝説の逸話をもつ旨いもの仲間です。自分の10代の終わりなんて着飾る事と遊ぶ事ばかり考えていて周りもそんな感じだったので、そんな若い時から美味しい物に向き合っていたなんてコイツは本物だと思ったものです。話それました。

そうなのか、これはお金が貰えるくらいの価値がある味なのか、自分でも作ってみたい。母に作り方をきくと「どのレシピを使ったか忘れたからそれっぽいものを送る」と、材料も工程も全く違うレシピのコピーが3枚、送られてきました。母からのアドバイスは『とにかく材料は冷やす。こないだなんて時間なかったから冷凍庫いれちゃったけど美味しかったら?(伊豆弁)あとはざっざっと。』ここで気づいたかもしれませんが、母はとにかく大雑把。こんな母がこんな美味しく作れるならば私にも出来るかもと思ったのですが、なにせどのレシピかわからん。仕方がないので自分なりに考えてレシピ構築したのが、店主のスコーン作りのファーストアタックです。もう20年以上前の話です。

さて、ここで気づいた事があります。もし母がこれ!というレシピを一枚だけ送ってきていたら、その通りに作ってそれで終わっていたかもしれない。ということは、当店のスコーンは母が大雑把だからこそ産まれたレシピという事になります。

カプラのスコーンが好きな方がもしいらしたら私の母に感謝してください。



その後、お店を始めるまでのいろいろ、なぜスコーンだけなのか、についてはまたいずれ。